*初出:Harmful Insect

以前にショーン君のサイト、Harmful Insectに寄稿した文を少々の加筆、修正をして掲載しました。
See Her Toniteで好きな10曲を挙げて解説すべしというのが、その時のお題だったのです。
並びはソロ活動であるCafe Wha?の曲を除いてアルファベット順になっております。


Don't Ask Me - From:EP 「Split 7" With Blocko」

イントロのカウンターメロディーがすごく印象的。
そして、ササキ氏のベースが良い味を出しています。
ある時にBaby Little Tabletsのススムさんが、
こういうベースラインを評してササキ節だと言っていた事に得心がいくような。
“ディランのように歌いたかった/もう引き返すには遅すぎる?”という一節が心に残る。

Forgot To Love - From:3rd Album 「Could You Be My Little Movie Star?」

2006年初頭のライブで最後に演奏される事が多かった曲。
4月にリリースが予定されている3rdアルバムでも最後を飾るスローな曲です。
ライブではサタケ氏も好んで聴いているというLuceroとか、
Tom Waitsを思わせるような泥臭くて男っぽい感じがしていたのですが、
アルバムに収録された物は、まるで70年代に逆戻りしたかのような
シンガーソングライターの匂いが漂う、こちらも素晴らしい仕上がりになっていました。

If You Were Mine - From:2nd Album 「Still Crazy After All These Years」

広島に来る前にサタケ氏が“最後に何か演って欲しい曲ある?”と尋ねてくれて
引っ越す直前のSee Her Toniteのライブで演奏してもらった、そんな温かい思い出が溢れる曲。
歌詞も下で挙げた「Said Certainly」にも通じるような切ない想いを吐露した物となっています。
ルックスがイケてないBeatnik Termitesならともかくサタケ氏のような男前でも、
こんな風に恋に恋焦がれて恋に泣くというような思いをする事があるのかと考えると
何だか自分だって大丈夫だと慰められるような気持ちになりますね、マジで。
一体、何が大丈夫なのかはサッパリ分からないけど。

Lovely - From:2nd Album 「Still Crazy After All These Years」

小沢健二による同名の曲に匹敵するくらいラブリーな歌詞。
サタケ氏の歌詞の方が幾分シニカルな印象を受けるものの、
小沢健二とサタケ氏の歌詞には何かしら共通する物を感じます。
(ほろ苦くも)甘く素敵な日々を謳い上げた日常への賛歌。
もちろん、その日々を鮮やかに彩るのは大切な誰かである、と。
そう言えば、サタケ氏はインディーズマガジンでインタビューを受けた際には
“僕は生きてて大事だと思うのは恋愛の事しかないんですよね”とか、
“個人的な事をリアルにさらけだしたい”なんて事を話していましたっけ。

Midnight Blue - From:Mini Album 「Miss Lonely Are You Blue」

このミニアルバムは、どの曲も秀逸で選ぶのに一際迷ったんですが、
アニメーションの名作、「機動警察パトレイバー」のエンディングテーマも同じ
「Midnight Blue」だったという少しアレな理由でチョイスしました。
この曲を聴いて、パトレイバーOVAシリーズの「二人の軽井沢」って話がもう1度観たくなってきて、
辛抱たまらずツタヤでビデオを借りて来たんだっけ。まぁ、そんな事はどうでも良いですね。
しかし、このCDは本当に佳曲揃いです。
こんなハイクオリティーな物がSee Her Toniteのライブでは無料で手に入るなんて信じられない。

My Number One - From:1st Album 「It's All Over Now, Baby Blue」

イントロのハーモニカにBob Dylanを感じるのは自分だけでしょうか?
いや、アルバムの題名でサタケ氏がディランを好んでいるという事は
既に分かっていたから、そのせいも多分にあるかもしれませんけど。
ちなみに、その題名はディランがフォークギターをエレキギターに持ち替えた歴史的アルバム、
「Bringing It All Back Home」の最後を飾る曲から。

Passin' Through - From:2nd Album 「Still Crazy After All These Years」

Aメロでのアコギのストロークが挿入される部分は何度聴いても鳥肌が立つ。
一縷の希望の光を見出そうとする歌詞も素晴らしいです。
そう、まるで49%後ろ向きで、51%前向きであるような。
(ビジネスジャンプで不定期連載中の「イスタデイをうたって」のコピーから引用。)

Said Certainly - From:Cassette Tape 「Sine Poster」

“確かに君も僕を愛してるって言ったんだ”という行りが切なすぎます。
歌詞カードが付いてなかったんで、内容が合ってるかは甚だ怪しいんですが。
Akio Satake名義で出したカセットに収録されていたアコギで弾き語っているバージョンもすごく好きです。
ライブにおいてはカントリー風のアレンジで演奏されていました。

The Band Is Gonna Play That Song Tonight - From:Compilation Album 「Soda Days 1997-2002」

最後のサビのD→E→A→F#mという進行部分で
AからF#mに移行する拍が普通よりも早い所がお気に入りです。
(分かりにくい説明だなぁ、ごめんなさい。)
この曲は、See Her Toniteの記念すべき初音源でありまして
初出はParasitesのDaveが監修をしたV.A「Japan Punk Kills You!」でした。
本当にしこたま聴きましたねぇ、このV.Aは。
See Het Tonite以外のバンドでは、Crullerの「Believe In」が特に良いです。
Pestmenや初期のPopcatcherに通じるような青いメロディー。

Grow With Me - From:Cafe Wha? 1st Album 「Speaking Words Of Wisdom Let It Be」

Cafa Wha?はサタケ氏の長いキャリアの中でも最も好きな音源の1つです。
この曲は少し靄がかかったような音になっていますが、
それがまた素朴な曲の雰囲気にマッチしていると言うか…
うーん、上手く説明できない(I can't explain my mind now)。
あ、そうそう、曲の題名はJohn LennonとYoko Onoのアルバム、
「Milk And Honey」の11曲目「Grow Old With Me」からだそうです。
この「Grow Old With Me」も実にシンプルな構成でして、
サタケ氏はそこら辺も意識して曲を作ったんだろうなぁとか想像してみたり。

Take it back, it's too late to say those words.